大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所 昭和26年(う)2339号・昭26年(う)2340号・昭26年(う)2342号・昭26年(う)2344号・昭26年(う)2337号・昭26年(う)2341号・昭26年(う)2338号・昭26年(う)2349号・昭26年(う)2348号・昭26年(う)2336号・昭26年(う)2343号・昭26年(う)2346号・昭26年(う)2347号・昭26年(う)2345号 判決

公職選挙法第一九九条及び第二百条にいわゆる寄附を為し又は寄附を受けるとは、当事者の一方が自己の財産を相手方に与える意思を表示し相手方がこれを受諾することによつて成立する一種の贈与契約を指称するものと解するのが相当であり、現実にその目的物を授受することは該契約の履行行為に過ぎないから、右約束と同時に目的物の授受が為された場合は勿論であるが、その授受が将来にのこされ、未だ完了しなくとも寄附について意思表示の合致があるかぎり、寄附を為し、又は寄附を受けた罪は成立するものというべきである。蓋し公職選挙法は寄附を受ける側において、勧誘し又は要求する行為のほかに受ける行為の三種類を禁止し且つこれ等を同一の罰条を以つて処断しつつ寄附を為す側においては単に寄附をする行為のみを禁止し、前者と同じ刑罰を以つて処断している点に鑑み、また選挙の自由と公正を確保しようとする該選挙法全体の精神に照せば、凡そ選挙の自由と公正を害する罪の法益を侵害する利益の授受が未だ現実に行われるに至らず将来に授受が予想される段階における行為をも取締りの対象としていることが理解され、かく解しなければ寄附の勧誘、又は要求より一歩進んだ寄附の約束を放任する結果となり、取締りの目的は達し得られないことになるからである。

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